パラブラ映画部

画像

作品No.054D

ふれあうまち

55分/1995

子供達が安全に楽しく暮らすことの出来る「まちづくり」を目指す向島。住む人が中心に防災やコミュニティー作りに取り組む姿を描く。


内容紹介

東京への愛情と挑戦

《私がまだ、生まれて3ヵ月の赤ん坊を抱え、深刻な育児ノイローゼに陥っていた頃だ。当時は高円寺駅前のマンションにいた。新しく越してきた所で知り合いもなく、外に出ることもできず、日々孤独感にうちひしがれていた。東京のような大都会で子育てをするのはこんなものなのか、というあきらめもあった。そこへ友人の女性映画監督のブリギッテが来て、向島の話をしていった。近所づきあいがとてもよく、その中で住民たちが、古いものを壊すのではなくそのままに活かす、新しい「まちづくり」をしている。そこが自分の住むハンブルクのオッテンゼンに似ている、と。
子どもを保育園に預け、また仕事を始めてしばらくたった頃、ふと思い出して、生まれて初めて向島に足を踏み入れた。路地を歩きながら、まるで体中の力がすべて抜けたようにほっとした。探していたものがあった。ヨチヨチ歩きの子どもを、安心して放しておける路地。ここなら何人赤ん坊を産んでもいいわと思わせる、家族的なまちの助産婦さんのやっている産院。年に一度爆発する、祭のエネルギーが、人々を結びつけていた。ボランティアで「まちづくり」をしている住民たちが楽しそうだった。行政と対立するのではなく、行政を巻き込み、自分たちのアイディアを地元住民とじっくり話し合いながら、実行に移していた。目からうろこが落ちる思いがした。 そうだ、あきらめていたけれど、「まち」は変えようと思えば、自分たちの力で変えられるんだ。何としても向島のまちと人々、その人生を自分の目で撮りたい、と思った。それは、次々と開発され、ふれあうやさしさをなくしている今の東京への、私なりの愛情と挑戦である。》(熊谷博子:監督)


関連カテゴリー

こちらもおすすめ

特集・コラム

特集・コラム一覧を見る