作品No.035D
家族 -部落差別を生きる-
35分/1988
部落差別の中でも最もきびしい差別といわれる結婚差別の実態を追いながら、家族の絆という価値を問う。
内容紹介
結婚を軸にした差別の実態
人生の決定的な瞬間に差別は表に見えてくる。たとえば結婚。結婚の前に行われる身元調査では、家族の学歴、職業だけでなく、部落民かどうか、在日韓国、朝鮮人かどうか、障害者が家族にいないかどうかといった点が調べられている。結婚が今でも当人の自由になってはいない。この映画は9人の語りの中から、結婚を軸にした部落差別の実態とそれをのりこえようとする努力を、35分という短時間の中でくっきりと浮かびあがらせている。
子供が大きくなったとき
差別が人間の生命まで奪う、この現実は重い。部落の人と結婚した娘からの送金を拒んだ母。部落出身の自分が相手を最後まで愛しきれるかと悩み、結婚を断念した女性。恋愛をしても部落出身を理由に自殺した男性。差別するのも同じ人間なのだ。
差別をおしきって結婚した人たちは気長に希望を求めている。そこにこの問題の 「光」が見える。そのきっかけは生まれてくる子供だ。結婚に反対していた親も「この子が大きくなる頃には差別がなくなっているよ」と孫を抱く。「この子らが大きくなった時、私らはこうしてきたって言ってやれるような生活やっていこう」と差別をのりきる力を身につけていく主婦。
生きて、乗り越えて
恋愛に失敗して自殺した友人について「自分は死んでそれで解決するかもしれんけど、残された者にしたら、引きずって生きていかなあかんようになってくるからね」と淡々と語ることばからは、死んでも差別はなくならない、生きて何とか差別をのりこえてゆくのだ、との決意が感じられる。”