作品No.030D
人間の街 -大阪・被差別部落-
1時間20分/1986
厳しい差別を受けながらも逞しく生き抜く被差別部落の人々。差別とは部落解放とはそして真の人間の豊かさとは何かを問う。
内容紹介
差別の重さ、人間の輝き
映画は郵便局勤務の男性の語りから始まる。彼のところには名ざしで職場をやめろ、死んでしまえなどという手紙が来る。
差別は厳然と存在している。この映画は被差別部落の人びとのさまざまな語りから その差別の重さを感じさせる。いくつかの物語をつなぎ合わせて、人間のもつ輝きを拾い集めようとしている。
立ち上がる解放運動
住宅要求闘争を語る女性。入居した時はうれしかったが、部落の共同性が失われていった。また、住宅がねたみの対象とされ、新しい差別をうんだ。部落の男性と結婚した女性は結婚後15年たっても家族との交流がない。しかし、彼らは差別にうちひしがれてばかりはいない。
「障害児も地或であたりまえに生きたらいい」と解放運動に教えられ、障害者の施設を部落の中に作った人びとがいる。「この地或やから生きてゆけるんとちがうかなー」と語る。水俣出身であることを隠してきた一家は子供の保育園入所をめぐって部落の人たちと知り合い、解放運動に立ち上がった。「部落は私のいのちです」と母は語り、息子も「部落がふるさと」と言い切る。
「誰れかが牛殺さな」
圧巻は屠畜場の屠畜シーンと屠畜技術者が小学校に出向いて自分の仕事について子供たちに語りかけるシーンである。ナイフ一本で肉にしていく確かな仕事は職人芸である。
彼はいう。「“誰れかが牛殺さな、たべてかれへんねん、肉たべられへんねん”て言えるくらいな、みんな子供になってほしいなと思う」