作品No.008D
水俣一揆 -一生を問う人々-
1時間48分/1973
裁判を自ら拒否し、加害者チッソとの直接交渉を求めて坐り込んだ水俣病患者たちの、人間としての尊厳をかけた闘いの記録。
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内容紹介
証言の記録
土本監督の水俣第2作。1973年3月20日、熊本地裁は患者の訴えを認め、チッソに慰謝料の支払いを命じた。チッソに初めて加害責任があることを明らかにした判決であった。その後、ひきつづきチッソ本社(東京)で直接交渉がくりひろげられる。この映画は交渉にあたる患者の行動を追う中で語られる、きわめて資料性の高い証言の記録である。
「もとの体に戻してくるれば」
「死ぬまで面倒をみてくれろ」と誓約書への署名を求める患者。「慰謝料分は払うが、あとの要求は会社の体力(資力)からいって呑めない」とつっぱねる会社側。しかし「なして今まで患者ばだましてきた。もとの体に戻してくるれば金は一銭も要らん。人は何のために生まれてきたち思うか」と問いつめる患者に、ついに署名し土下座する。
被害者と加害者が初めて交渉したこの翌日から3カ月半、チッソ本社を舞台に生涯の医療と生活の保障を求めて交渉が続く。新認定患者を軽症とみて低額の金でことをすまそうとする会社の意図が暴露される。認定されないまま死んでいった患者の解剖例が明らかにされる。若い胎児性患者のことを問う女性患者、水俣病のため離婚された子もちの婦人たちの声、声、声。
「あんたも人の親じゃろ。何を信心しとられるか、座右の銘は何ですか」とつめよられた社長の表情が凍りつく。会社の防御は固いが患者たちは全力を尽くしてその一角をつきくずしていった。
なお、この映画では初めてシンクロ録音(同時録音)が使用され、緊密な映画構成を成立させている。