作品No.023D
原発切抜帖
45分/1982
日々配られる新聞、その情報から見えてくる原発大国・日本の姿。
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内容紹介
世界にもまれな実験映画
1980年代の初めからヨーロッパに再燃した反核運動は1982年に日本に及び、急ピッチに反対署名運動などが広がった。しかし、それは核兵器を対象とするもので、原発批判とは結びついていなかった。
この作品はそうした状況に一石を投じつつ、原爆被爆体験国から原子力大国へかけ進む日本の戦後史を、新聞記事の早めくりで一息に見直す意図をもって映像化された。主役は手持ちのスクラップ(切抜)と古い新聞資料。「絵にならない」文字言語、新聞のメディアを下図につくりあげた世界にもまれな実験映画の試みでもある。
原子力大国化への道
1945年8月7日付の広島の原爆第一報はベタ記事で「焼夷爆弾」とある。しかし、敗戦翌日の特報には「死に至る放射能障害まで研究済」。核については最初から敵味方問わず秘密にされてきた事実がここにある。
1961年のアメリカの原子力発電所内での事故、ビキニの実験と第五福龍丸乗組員の被曝。実験後は島に住めず、当時生まれた子供は27年後白血病で死亡。1979年のアメリカ・スリーマイル原発事故や1981年の日本・敦賀原発事故などのパニック。原発ジプシーの手仕事で拭われる廃液。原発労働者のガンや白血病が公認の職業病となったカナダのニュース。原子力船「むつ」の放射線もれとその対策としてのヨウ素入りメシ団子作戦、中性子防止のペレット詰めの古靴下作戦の報道。海洋投棄に猛反発する太平洋のベラウの人びと…。
見落とされがちな小さなベタ記事もクローズアップされ束ねられると、そこに日本の原子力大国化への道がはっきり記されている。”